テント泊もいける”ちょっとデカい”サイズが誕生「I.D.backpack DECA」フィールドテスト

ACTIBASEの新しいバックパック「I.D. backpack DECA」が誕生しました。

最大容量は42L(ポケットを含まず)。日帰りからテント泊まで幅広く対応する余裕や使い勝手を持ちつつ、重さはわずか550g。UL(ウルトラライト)系バックパックらしい軽量性や背負い心地が追求されています。

週末のほとんどを山で過ごし、あらゆるバックパックで酸いも甘いも噛み分けてきたACTIBASEメンバーだからこそ作れた新モデルの魅力とは。今回は、メンバーとも5年以上の付き合いがあり、30Lの既存モデル「I.D.backpack」を愛用しているライター・岡田瑛穂が山を歩いてフィールドテスト。実際に使ってみてわかった、バックパックの魅力を紹介します。

日帰り〜テント泊に対応できる42L「I.D.backpack DECA」

「I.D.backpack DECA」(以下:DECA)は、すでに人気を博していた「I.D.backpack」の容量をアップし、さらに多用途に使えるようにしたモデル。従来のI.D.backpackは約30Lでしたが、「もう少し容量に余裕がほしい」という声が多く寄せられていたそう。そこで誕生したのが、最大42Lまで拡張可能なDECAです。

「これまで自分たちが使ってきた数々のバックパックから得た不満やアイデア、そしてI.D.backpackで実現した『これぞ使いやすい』というこだわりの仕様をそのままDECAにも踏襲しました」と開発者のみきちゃんが教えてくれました。

ただし、容量アップに伴う荷重増加に対応するため、腰ベルトはより幅広のものへ、ショルダーハーネスは太めに、さらにショルダースタビライザーを追加。これによって体にかかる負担を軽減し、重装備でも快適に歩き続けられるようになっています。

42Lという容量は、日帰りや1〜2泊の小屋泊装備、そして荷物を工夫すれば1泊程度のテント泊装備を詰め込むのに十分なサイズ。加えて、トレッキングポールやピッケルなど本格的な山岳装備を携行することも可能です。

ひとたび登山にハマると、どんどん憧れの山が現れて、ステップアップを目指したくなるもの。そのため、初心者からベテランまで、そしてあらゆるフィールドで、一つのバックパックを使える点が、DECAの大きな魅力です。

荷物が増えても怖くない!ロールトップで“変幻自在”のパッキング

DECAの最大の特長は、ロールトップ構造。これは荷物量に応じて容量を自在に変えられる仕組みです。荷物が少ない日帰り山行ならトップ部分を何度か巻き込み、30Lクラスまで小さく圧縮可能。荷物が多い場合はロールを少なめにすれば最大容量を引き出せます。

今回のフィールドテストではテントを使った一泊の山行を想定し、食料や水分を含めた約8.6kgの荷物をパッキングしましたが、まだ余裕がありました。ロールトップを使いこなすことで、一年を通じてあらゆるシーンで活躍します。

“斜めジッパー”の妙!必要な荷物へ即アクセス

シンプルさを極めたUL系バックパックや、ロールトップ構造の課題となりがちなのは、荷物の出し入れの煩わしさ。

DECAはフロントにダブルジッパーを配しており、上下どちらからも荷物にアクセスできる仕様。そのため、下部にある装備やウェアもロールトップを解かずに取り出せます。特に長時間の縦走などで、行動食やレインウェアなどを小まめに取り出したい場合、このフロントアクセスは大きな強み!

通常、上からしか荷物を取り出せないバックパックでは「行動中に必要になるものは上に入れておこう」などと、先読みしながらパッキングしなければなりません。ですがDECAなら、そこまで気張らなくても大丈夫。考えすぎずにポンポン詰め込んでも、ファスナーを開ければ、必要なものをラクに取り出せるんです。

さらに、ジッパーが斜めに取り付けられていることで開口部が大きく広がり、パッキング時の自由度がぐっと増します。装備をざっと並べては少しずつジッパーを締めて形を整える、という作業を繰り返すことで、無駄なスキマを最小限に抑えた美しいパッキングが可能に。

テント泊などで装備が増えるシーンでは、丁寧な詰め込みが快適な山歩きのカギとなるため、パッキングが苦手な人こそその恩恵を感じられるでしょう。さらに、取り出すときにも内部が見やすく、必要なアイテムをサッと手に取れます。

また、背面側には止水ジッパー付きポケットを配置。ファーストエイドキットやモバイルバッテリー、行動食など、すぐに使いたいアイテムを入れておくと便利です。

ちなみに、ポケットの高さは“ようかん”を立てたまま収納できる、ピッタリな寸法でした。実際に6〜7本ほどまとめて入れてもちゃんと収まるので、行動食としてようかんを愛用している方なら、この使い方はちょっとした裏ワザかもしれません(笑)。

メッシュポケットを有効活用:歩きながら濡れ物を自然乾燥

フロントには大きなメッシュポケットが備わっており、濡れたレインウェアやテントなど、内部に一緒に入れたくないものを外付けしながら乾かせます。テント泊用のサンダルを入れるのもおすすめ。荷物が多くなっても、このポケットを上手く使うことで内部スペースに余裕が生まれ、パッキングに柔軟性が増します。

世の中には、数多くのポケットがあしらわれたバックパックもたくさんあります。それはそれで、ギミックが詰まっていて魅力的。けれど、細かいポケットが多すぎると、結局どこに何をしまったのか見失ってしまい、使わないまま終わることもしばしば。

そのため、大きなポケットにざっくりと放り込めるほうが、山の中ではむしろ気楽なことも。荷物の配置を気にする時間を減らし、その分、移り変わる景色や吹き抜ける風、仲間との何気ない会話をじっくり楽しむ余裕が生まれるのではないでしょうか。

外付けも自由自在

前面に張られたリフレクターゴムを使い、トレッキングポールやヘルメット、ピッケル、クローズドセルマットなどを外付け可能。「今は低山歩きがメインだけれど、そのうちヘルメットやピッケルを使う可能性も……」といった、登山者の将来を見越した懐の深さが光ります。

重装備でも長く歩ける工夫とは?30Lモデルとの違いはココ

先述したようにDECAは、10kgを超える重装備でも快適に背負い続けるための工夫が散りばめられています。

背中にフィットする背負い心地で軽やかに歩ける

DECAは、重心が高い位置で安定するように作られています。また、従来のI.D.backpackにはない「ショルダースタビライザー」を取り付け。バックパックを体に引き寄せてフィットさせることで、荷物の重さによって体が後ろや下に引っ張られるのを防ぎます。さらに、肩の荷重を分散させるため、幅の広いショルダーハーネスを使用。これらが総合的に作用し、重装備でも体への負担がかかりにくく、快適に歩き続けられます。

腰ベルトは38mm幅のテープ状。一般的なフレームザックのように腰全体で重量を支えるタイプではありませんが、荷物のブレを抑えるサポート的な役割を果たします。

筆者が8.6kgを背負って歩いた際、細かなアップダウンやガレ場・ザレ場でもバランスを崩しにくく、背面にぴたりと張り付くような安定感が印象的でした。UL系バックパックにありがちな、歩行時のブレや肩への負担が最小限に抑えられているようです。

軽量・高強度な防水素材「X-PAC」「ULTRA200」を使用

メインの生地には、言わずと知れた防水・高耐久素材「X-PAC」や、今話題の軽量・高強度な新素材「ULTRA200」を使用。安心して長く使い続けられます。

「ULTRA200」は、Challenge Outdoor社が開発した素材で、繊維自体が極めて強く、軽量ながら耐摩耗性や引裂強度、防水性に優れます。和紙のようにしなやかで、一見すると繊細な素材。しかし、その素材が秘めるハイスペックさを知ると、そのギャップが心にぐっと響きます。マヂカッコイイ……!

42Lの“相棒”と憧れの山へ

実際に「I.D.backpack DECA」をフィールドで試し、感じたのは、使い方の柔軟性と軽さ、そして機能美です。42Lという十分な容量を持ちながら、ULザックらしい軽量性を損なわず、ロールトップやフロントジッパー、背面ポケットなどの工夫で、煩わしいと感じがちなパッキング作業や荷物の出し入れをスムーズにしてくれました。

開発者の想いとこだわりが詰まったこのバックパックは、登山者の成長に寄り添う存在。ULバックパックへのステップアップを考えている方、既存モデルからの買い替えを検討している方、あるいはこれから本格登山に挑戦する初心者の方にとって、「I.D.backpack DECA」は「これさえあれば」という頼もしさを感じさせてくれます。ぜひ山行の相棒として、検討してみてはいかがでしょうか。

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I.D. backpack DECA ultra×ultra 42L

I.D. backpack DECA ultra×X-pac 42L

I.D. backpack DECA X-pac×X-pac 42L

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しょーま

ACTIBASE代表。年間80日山にいる男。日本百名山登覇。成蹊大学卒業後、山にハマり過ぎて2年間務めた会社を退職&ACTIBASE設立。1000人の若者登山コミニティを運営。アウトドアブランド『仙』を立ち上げデザイナーとして活動中。2017年に自伝を出す。

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ACTIBASE代表。年間80日山にいる男。日本百名山登覇。成蹊大学卒業後、山にハマり過ぎて2年間務めた会社を退職&ACTIBASE設立。1000人の若者登山コミニティを運営。アウトドアブランド『仙』を立ち上げデザイナーとして活動中。2017年に自伝を出す。